ヴェネツィア国際映画祭ラインナップ(前編)
みなさんこんばんは。ヴェネツィア映画祭のラインナップが発表されたので紹介していきたいと思います。
『Madres Paralelas』 監督:ペドロ・アルモドバル
コンペティション部門オープニング作品に選ばれたのはスペインを代表する巨匠、ペドロ・アルモドバル監督の最新作です。スペイン・マドリードを舞台に、同日に出産した二人の母親が子供を育てる一年目と二年目の姿が描かれていくとのこと。半自伝的作品であった前作『ペイン・アンド・グローリー』とはまた異なり母性をテーマにしたアルモドバルらしい作品になるとみられます。そしてアカデミー賞では国際長編映画賞、そしてペネロペ・クルスが女優賞で絡んでくるでしょうか?
『Mona Lisa and the Blood Moon』 監督: アナ・リリー・アミールポアー
『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女 』がシッチェス・カタロニア国際映画祭で三冠を達成、モノクロのヴァンパイア物語が世界で話題になりました。今回はケイト・ハドソン、エド・スクラインが出演するスリラーで、特殊能力を持つ少女が精神病院を抜け出し、本当の自分を取り戻していく、というストーリーのようです。イランの新鋭、どこまで賞に絡んでくるでしょうか?
『Reflection』 監督:ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ
前作『アトランティス』はオリゾンテ部門で受賞、東京国際映画祭コンペティションにも出品され審査員賞を獲得した作品です。筆者も拝見しましたが、静謐ながら固定カメラの長回し、主人公を追いかける手法を多用し「顔」を映した不思議なSF作品でした。今回は全く物語が明らかになっていませんがヴェネツィアらしいアート作品なのは間違いないでしょう。
『The Power of the Dog』 監督:ジェーン・カンピオン
1993年『ピアノ・レッスン』の衝撃からはや30年!『ブライト・スター いちばん美しい愛の詩』以来12年ぶりのカムバックとなる今作はNetflix配給。キャストにはベネディクト・カンバーバッチ、キルスティン・ダンスト、トーマサイン・マッケンジーと豪華なメンバーが揃います。モンタナ州に大きな牧場を持つ兄弟の話ということでアカデミー賞に絡みそうな硬派で壮大な作品になりそうです。
『Illusions Perdues』 監督:グザヴィエ・ジャノーリ
誰?と思ったのですが、『偉大なるマルグリット』の監督ですね!ヴェネツィアでは『偉大なるマルグリット』がコンペ、『Quand j'étais chanteur』『À l'origine』がカンヌのコンペに出品としっかり実績のある監督のようです。キャストがあり得ないほど豪華で、グザヴィエ・ドラン、ジェラール・ドパルドュー、ヴァンサン・ラコスト、ジャンヌ・バリバールが出演します。これだけで胸が躍りますね!『The Card Counter』 監督:ポール・シュレイダー
『魂のゆくえ』以来のポール・シュレーダー監督作がコンペ入りです!過去の決断に悩まされる元軍人尋問官で、ギャンブラーに転身した男の復讐を描く物語ということで、オスカー・アイザックが主演、ウィレム・デフォーが脇を固めます。『魂のゆくえ』ではアカデミー賞まであと一歩というところで近年存在感を増してきている存在だけにアカデミー賞視点から見ても興味深い作品かもしれませんね。
『The Lost Daughter』 監督:マギー・ジレンホール
女優マギー・ジレンホールの監督デビュー作が堂々コンペ入りです!こちらも出演陣が豪華で、オリヴィア・コールマン、ダコタ・ジョンソン、ジェシー・バックリー、エド・ハリスらが出演する作品で、ある女性がビーチで休暇を過ごしていますが、自らの暗い過去と対峙していくという物語のようです。女優出身の監督の躍進が目立ちます。オリヴィア・コールマンがまたしても女優賞に食い込んでくるのか、非常に楽しみな作品ですね。
『The Hand Of God』 監督:パオロ・ソレンティーノ
イタリアを代表する現代のフェリーニことソレンティーノの最新作です。正直個人的にはソレンティーノはあまり好きではないのですが、イタリア代表に選ばれて国際長編映画賞に残る可能性は大いにありますよね。そういう意味では重要な一作と言えるでしょう。Netflix配給作品のようですね。
『America Latina』 監督:ダミアーノ&ファビオ・ディノセンツォ
ベルリン映画祭で銀熊賞を獲得、先日イタリア映画祭で公開された『悪の寓話』の監督最新作です。『悪の寓話』もスリラー的要素はありましたが、ビジュアルを見る限り今回もスタイリッシュなスリラーに仕上がっているのではないでしょうか。
『L'Evénement』 監督:オドレイ・ディワン
脚本家としての方が有名な方のようで、『フレンチ・コネクション 史上最強の麻薬戦争』ではリュミエール賞の脚本賞にノミネートされています。1960年代にはまだ違法だった中絶をめぐる物語と言うことで厳しそうではありますが、コンペに選ばれたということは見るべき作品なのは間違いないでしょう。
『Competencia Oficial』 監督:ガストン・ドゥプラット、 マリアノ・コーン
『4x4 殺人四駆』が日本でも公開されたアルゼンチンの鬼才監督がコンペ入りです。また『笑う故郷』が高く評価され、ヴェネツィア映画祭で三冠を達成しています。アントニオ・バンデラスとペネロペ・クルス共演のコメディのようで楽しみですね。
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