第34回東京国際映画祭 ワールドフォーカス・ユース編
みなさんこんばんは。
今回はワールドフォーカス部門とユース部門の注目作品を紹介していきたいと思います。
ワールドフォーカス部門
〇『箱』(アメリカ/メキシコ、ロレンソ・ビガス監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3404WFC01
『彼方から』(15)でヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞したビガス待望の最新作。父の遺骨を取りに来た少年は、その帰り道で父によく似た男を見かける...。ヴェネチア映画祭コンペ作品。
『彼方から』でヴェネツィアを制したビガス監督の新作です。あらすじだけでも面白そうですよね。少年と父に似た男に絆が芽生えていく・・・そんな物語でしょうか。
rotten tomatoesではレビュー数は少ないながらも89%と好意的な評が多いようです。それらの評によると、ジャンル横断的に話にツイストを加え飽きさせないとのことです。スピリチュアル的な展開があるのでしょうか。楽しみです。
〇『ベネシアフレニア』(スペイン、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3404WFC03
ヴェネチアを訪れたスペイン人観光客が次々と殺害される。その陰には街を外国人から取り戻そうとする秘密結社の存在があった。1970年代"ジャッロ映画"へのオマージュとも言うべき作品。
今のところ一番楽しみにしているのはこの作品です。マリオ・バーヴァに代表されるジャッロ映画へのオマージュ!これだけで絶対に観たいと思わせられます。
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督はゴヤ賞で3度の監督賞ノミネート、1度の受賞に輝く、スペイン・ジャンル映画の巨匠的存在です。中でも有名なのは『気狂いピエロの決闘』でしょう。この作品はヴェネツィア映画祭で監督賞・脚本賞を含む三冠に輝きました。
他にも『スガラムルディの魔女』(2013)、『刺さった男』(2011)はU-NEXTで、『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的』(2016)と『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』はNetflixで観ることが出来ます。『オックスフォード連続殺人』(2008)、『ベビー・ルーム』(2006)、『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)、『みんなのしあわせ』(2000)はレンタルで観ることができます。
〇『洞窟』(イタリア/フランス/ドイツ、ミケランジェロ・フランマルティーノ監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3404WFC04
1960年代、若い学者たちが前人未到のカラブリアの洞窟を探索。地下700mまで到達した。この事実をあたかもドキュメンタリーのように再現した作品。撮影は名手レナート・ベルタ。
本作は今年のヴェネツィア映画祭で特別審査員賞を含む四冠を達成しました。監督のミケランジェロ・フランマルティーノは『四つのいのち』(2010)でカンヌ映画祭の監督週間に選出され、Label Europa Cinemas賞を受賞しました。『四つのいのち』はレンタルで観ることが出来るので予習したいと思います。
60年代の出来事をドキュメンタリーのように再現するというのはどういうことなのか想像もつかず楽しみです。
〇『スワン・ソング』(アメリカ、トッド・スティーヴンス監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3404WFC06
養護施設に暮らす元ヘアドレッサー、パットは久々の仕事の依頼を受ける。パットは施設を抜け出し最後の仕事に向かうが...。サウス・バイ・サウスウエストを始め、多くの映画祭を熱狂させた話題作。
怪優ウド・キア主演作にしてRotten Tomatoesでは93%と絶賛されている話題作です。監督のトッド・スティーヴンス監督は長編4作目。デビュー作の『Gypsy 83』(2001)はクィア系の映画祭でいくつか受賞をしているほか、『Edge of Seventeen』(1998)というゲイ映画では脚本を担当、『Another Gay Movie』(2006)などゲイ映画を2作監督しています。それもあり本作も予告動画を見る限り多様なジェンダーの人々が登場する作品になっているようです。
ユース部門
〇『牛』(イギリス、アンドレア・アーノルド監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3408YTT01
『フィッシュ・タンク』(09)のアーノルド監督が一頭の牛の生活を描く。ドキュメンタリーであるが、劇映画に劣らないドラマ性を有したユニークな作品。カンヌ映画祭プレミア部門で上映。
『Red Road』(2006)、『フィッシュタンク~ミア、15歳の物語』(2009)、『アメリカン・ハニー』(2016)と三作がカンヌ映画祭のコンペ部門に出品され、いずれも審査員賞を獲得しているイギリスの女性監督、アンドレア・アーノルド監督のドキュメンタリー作品です。予告動画では牛が一頭ひたすら映されているのみでどのようなドラマ性を有しているのか想像もつきません。
というかなぜこれがユース部門に・・・?
〇『私たちの永遠の夏』(フランス、エミリー・オーセル監督)
https://2021.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3408YTT03
永遠に続くかのような夏の日々を過ごす若者たち。だが、ひとつの事件により、それには終わりがあることを知らされる。ロカルノ映画祭新進監督部門で審査員特別賞を受賞した秀作。
監督のエミリー・オーセルは長編ドラマ映画デビュー作のようで、瑞々しい感性で切り取られる青春映画という感じで楽しみです。まさしくユース部門!という感じの作品ですよね。