2021年カンヌ国際映画祭ラインナップ(後編)

2021年06月04日
『MEMORIA』
『MEMORIA』

『THE RESTLESS』ヨアヒム・ラフォス監督(ベルギー)

こちらはコンペには初参加の監督ですね。2012年に『À perdre la raison』がある視点部門に出品されており、順当にステップアップしてきた感があります。キャストにはラジ・リ監督『レ・ミゼラブル』のダミアン・ボナールがいるようです。

『PARIS 13TH DISTRICT』ジャック・オーディアール監督(フランス)

既に『ディーパンの闘い』でパルム・ドールを獲得しているカンヌの常連監督の新作です。キャストには『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランの名が見えます。今回二回目のパルム・ドールとなるのか注目されます。

『INGUI』マハマト=サレ・ハルーン監督(チャド)

初めて見る名だなと思ったのですが、しっかり日本版のwikiもある人でした。以下抜粋です。「2006年の『Daratt』は第63回ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。2010年の『終わりなき叫び(英語版)』は第63回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。チャドの監督がコンペティション部門で賞を獲得するのは史上初のことであった。2011年の第64回カンヌ国際映画祭では審査員の1人を務めた。2013年の第66回カンヌ国際映画祭では『Grisgris』がコンペティション部門で公開され、パルム・ドールを争う。」と既に国際映画祭で実績を積んできた人のようですね。とはいえ日本では『終わりなき叫び』を除いて紹介が進んでいない監督です。

『MEMORIA』アピチャッポン・ウィーラセタクン監督(タイ)

『ブンミおじさんの森』でパルム・ドールを獲得した自然派監督がコンペ入りです。超自然派と言ってもいい、人によっては何も面白くないであろう映画の作り手ですが、個人的にはどうしてもファンであることを否定できない存在です。『光りの墓』以来のカムバックということでとても楽しみです。しかも主演があのティルダ・スウィントン!これは期待しないわけにはいきません!

『NITRAM』ジャスティン・カーゼル監督(オーストラリア)

批評家週間に出品された『Snowtown』で二冠、次の『マクベス』ではコンペに選出された気鋭の監督です。ブロックバスターの『アサシン・クリード』や日本でまもなく公開の『トゥルー・ヒストリー・オブ・ケリー・ギャング』の監督としても知られます。新作はスリラー映画ということで楽しみです。

『FRANCE』ブリュノ・デュモン監督(フランス)

『ユマニテ』『フランドル』で二度のグランプリを獲得しているフランスの巨匠が手掛ける新作はズバリ『フランス』!どういうことになるのでしょうか。日本ではそこまで認知度の高くない監督ではありますがかなり癖が強いとのこと。なにしろあのカイユ・デュ・シネマ誌の常連ですからね。

『PETROV'S FLU』キリル・セレブレニコフ監督(ロシア)

最近では『LETO レト』が話題になったロシアの社会派監督の新作です。『The Student』がある視点部門、『Leto』がコンペに選ばれたもののロシア政府により自宅軟禁状態に置かれ来られなかったという経緯があり、おそらく今回も来られないでしょう。

『RED ROCKET』ショーン・ベイカー(アメリカ)

アメリカ・インディー映画界の雄、ショーン・ベイカーが遂にコンペ入りです。『チワワは見ていた』『タンジェリン』そして『フロリダ・プロジェクト』に続きショーン・ベイカー監督がどんな映画の魔法を見せてくれるのかとてもとても楽しみです。出来栄えによってはアカデミー賞も狙える位置にいると言えますね。

『THE FRENCH DISPATCH』ウェス・アンダーソン監督(アメリカ)

これはずっと入ると言われてきた作品ですね。『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブタペスト・ホテル』などの言わずと知れたビジュアル派監督ウェス・アンダーソンの新作です。既に予告編も出ていますね。とにかくシャラメが!シャラメが楽しみ!

https://youtu.be/TcPk2p0Zaw4

『TITANE』ジュリア・デュクルノー監督(フランス)

『RAW 少女のめざめ』では批評家週間に出品され国内外で大いに話題を呼びました。一風変わった作風のこの監督は一躍時代の寵児となりました。『RAW』は本当に大好きなので、というか日本でも好きな人はたくさんいるので公開早めでお願いします!いいに決まってるっしょ!

『TRE PIANI』ナンニ・モレッティ監督(イタリア)

ナンニ・モレッティはカンヌの常連中の常連で、もう8度目のコンペ参加となります。『親愛なる日記』で監督賞、最新作『母よ、』でもエキュメニカル審査員賞を受賞していますが以外にも最高賞はなし。出来栄えによってはそろそろパルム・ドールをあげるかもしれませんね。

『TOUT S'EST BIEN PASSÉ』フランソワ・オゾン監督(フランス)

オゾンの制作ペースどうなってるの?と言いたいくらい制作ペースの早いオゾン。新作の『Summer of 85』が日本公開まだという中で更にまた新作!オゾンは『スイミング・プール』『8人の女たち』『危険なプロット』と好きな作品しかないので期待しかないですね。オゾンは以外にもカンヌでは受賞経験がありません。そのため今回は何らかの形で賞に関わってくる可能性もあるでしょう。

『A HEROS』アスガー・ファルハディ監督(イラン)

『別離』ではベルリン映画祭金熊賞とアカデミー賞外国語映画賞を独占、『セールスマン』でも同賞を受賞するなど波に乗るファルハディの新作です。英語ドラマに挑戦した『誰もがそれを知っている』とは異なり今回はイランでの制作のようで、またしてもアカデミー賞に関わってくる可能性は十分あるでしょう。